布は糸が組み合わされたものですが、糸が全て取り除かれると、そこには布は残りません。同じように、全ての思いが取り除かれると、そこには心がありません。人に内在する人間としての価値は欲望に限度があるときのみ開花します。人間としての価値が欠けている人を人間とは呼べません。
愛のある思いが真実で、愛のある行為が正義です。もしも私たちの中に愛があれば、そこにはまた平安があるでしょう。 スバーマから与えられた土地に小屋が建てられ、そこが若いスワミの住まいとなりました。多くの人々はババを崇敬し礼拝しますが、中にはババに嫉妬し、邪な考えを抱く者がいました。 そして、ババの小屋に火を付けるといった陰謀が密かに練られていました。その陰謀に加わった者は、多くの人が牛車に乗ってここに来ているが、彼らは騙されているか或いは気が狂っていると思い、ババの行うことが奇跡なのかマジックなのか、真実なのか嘘なのかを確認しようとしました。 そして、彼らはたいまつに火を付け、その火でババの小屋に火を付けました。小屋は瞬く間に燃え上がりました。近くにいた人達はそれに気が付いて目を覚まし、「スワミの小屋が燃えている、スワミは中に居る!」とあわてふためいて、「水を持ってこい!」と叫ぶ者や「誰かが火を付けた」といって取り乱していました。 そうこうしている内に、奇跡的に雨が降り始めました。何と驚いたことに雨は燃えている小屋の上に降っているだけで他の所には降っていないのです。それを見て人々は口々にそのことを声に出し、ビックリしました。中には「不思議なことではないよ、スワミが中に居るんですよ、スワミは普通 の人とは違うのですよ」とか、「スワミは神です!」とか、「それは単なる小屋ではなく、神のお住まいなのですよ」と話す人もいました。 陰謀を企てた者達は肝をつぶしました。彼らのもくろみは完全に失敗に終わり、徐々にではありますが彼らにも事実がはっきりしてきました。彼らは語りました。 そのうち燃えた小屋が元の状態に戻り、中からスワミが現れました。そして、一人が「バラ スワミ キー」と言うと群衆は「ジェイ」と勝利の雄叫びを挙げました。その小屋に火を付けた悪漢どもは、スワミがどのような人であるかを悟り、後悔の念に打たれ、スワミの許しを請うことを決意しました。そして、悪漢達はババのもとに出て「スワミお許し下さい!」と声を揃えて言いました。 ババが「何のために謝るのだ」と言うと、一人が「あなたを嘘つきの奇術師と誤解してあなたのお住まいに火を付けました」と言い、もう一人が「あなたの力を試してみたいと思ったのです。どうぞお許し下さい」というと、スワミは次のように言いました。 「あなた達はなにも悪いことをしたのではないのです。あなた達にそのようなことをさせたのはあなた達の無知によるものなのです。無知は闇のようなものなのです。あなたが使うマッチ棒は火でもあり、また光でもあります。そのマッチ棒は火事を起こすため、またはランプに火を灯すために使うことができます。その火事で小屋を灰にすることができる一方、ランプでは暗闇を除くことができます。まず最初にあなたの無知を取り除くために知性を使いなさい。試すことを止めなさい。過ちはあなたのものではなくあなたの無知にあるのです。さあ、行きなさい。」 これを聞いて悪漢どもは「スワミ!あなたは本当に神様です!神様です!」と言いながら去っていきました。 (第27話終わり)
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