治療の寺院 アマール・ナータ・サファヤ医師
バガヴァン・シュリ・サティア・サイババは、この激動の時代に永遠の真理を教える神の教師としてこの世に来られたのです。バガヴァンの使命は、真理、正義、愛、平安、非暴力(サティア、ダルマ、プレマ、シャンティ、アヒムサ)からなる神への道へ、人類を再び向けさせることであります。シュリ・サティア・サイババは、その教えの中で、人間の心を変容させることができるのは、崇高さに加えて、言葉と思考と無私の奉仕によって人へ向けられる行為とが首尾一貫していることである、と私達に示されておられます。バガヴァンの使命の中で中心的なものは、教育並びに医療施設の建設によって人類に対してなされている献身的奉仕であり、これらの施設は人間性の価値に基づいた永遠の原理に従って運営されております。バガヴァン・シュリ・サティア・サイババは、これらの模範的な施設を、世界を変容させるための礎として提供されました。
少なくとも今後1000年間は人類への奉仕の模範になると考えられる、シュリ・サティア・サイ高等医療科学病院が、バガヴァン・シュリ・サティア・サイババの66歳のお誕生日の際の1991年11月22日に設立され、インドの首相によって開所式が執り行われました。この病院は人道主義の証として、また人類への奉仕によってもたらされるものが極めて価値があることを示されるために設立されたのです。この病院の設立は、カースト、信条、宗教、人種、国籍の如何を問わず、金持ちでも貧乏人でも同様に、極めて特殊な医療分野においてさえも、全く無料で最高級の治療を受けることができることを示しました。このことから、バガヴァン・シュリ・サティア・サイババは、病を患っている患者の出費によって利益を得るような医療行為を止めるようにように呼びかけておられます。
極めて人目を引く病院の建物は、インド南部の荒涼とした田園地方に僅か6ヶ月で奇跡的に建築され、荘厳な治療の寺院として建っております。その神聖な建築様式と4つの壁に囲まれた霊的雰囲気は、治療を受けるため或いは治療をするためにそこに来た全ての人に、神聖にして平安なオーラを注入してくれます。
世界中の殆どの人々が高額な高等技術の医療を受けることのできないこの時代において、慈悲にあふれた愛情深い介護と、無私の奉仕の精神から発した医療奉仕によって、この病院は基本的な人間性の価値の在りかたを示すための、現に生きた模範となっております。この病院には、神と人類へ奉仕するために世界中から高度の資格を有する献身的な外科医、内科医、看護婦、その他の医療現場の人々や技術者が多数集まって来ております。行き届いた国際的な協力によって、この病院の各医局には、最新の設備が備えられ、また世界中の先進国で採用されている最も進んだ医療を、この病院においても施すことができるようになっております。
この病院の患者はいつも感謝にあふれた笑顔で人々に挨拶をし、またその輝いた目には、無料で正常な健康状態に回復したことによる希望の火が灯されており、この病院の病棟の患者を訪ねる全ての人にとって、ここはまるで神を訪ねる巡礼の旅をするようなものです。
1991年11月の設立から1年間に、この病院は心臓科と心胸手術科(その付属補助部局を含む)を開設しました。その後1年経った1992年11月には、泌尿器腎臓科が開設され、1993年11月には腎臓移植部が開設されました。1994年11月には眼科が開設されました。また、1994年の11月には、インドの医科大学院教育を所定のレベルに標準化する政府機構のインド審査局は、この病院が心臓病学、心胸手術、泌尿器学科及び腎臓学を専攻する大学院生に、研修と学科単位を付与することを認可しました。これによって、シュリ・サティア・サイ高等医療科学病院は、医学部大学院教育と医療研究の中心となって、将来の医療教育と研究は、人類の向上のために行わなければならないということを、世界の医療社会に示すことになるでしょう。現在準備中の将来の計画は、神経科、神経外科、耳鼻咽喉科、肺臓科、腫瘍科の開設であります。
終局的には、シュリ・サティア・サイ高等医療科学病院は300以上のベッド数と、この病院と連携した特別の診療所を保有し、発展途上国においては普通の人がとても受けることのできない、多くの専門分野における診断と治療を完全に無料で受けられる病院となるでしょう。
この病院では、過去約42ヶ月の間に3,741件の心臓手術が行われ、そのうち2,230件は冠動脈手術、幼児の先天性異形の矯正、心臓弁膜の治療、心臓弁膜の交換、心臓腫瘍の除去などの心臓切開手術でした。合計で128,787名の患者が心臓病科の外来患者診察所で検査され、治療を受けました。2,906以上の処置が心臓病カテーテル室で行われ、そのうち669例は冠動脈血管形成、僧帽弁の形成、肺動脈弁形成、永続的なペースメーカーの埋設のような手術でした。心臓病病棟に入院した患者の総数は過去42ヶ月間で5,825人で、平均入院日数は10日となっております。純死亡率と感染率は2%以下で、これは世界で最高の心臓病手術センターに匹敵するものです。この病院で処置を受けた患者の全体の内、およそ学生30%と、子供12%と、主婦20%が無料の心臓病手術の恩恵を受けました。このことからも判るように、社会の最も弱い層の人々に最高の援助が差し延べられました。私達の関心事は臓器低温保存バンクを発展させ、究極的には現地人の臓器を保存して、もっと多くの患者がそこから恩恵を受けることができるようにすることです。
過去3年間に2つの国際的な心臓病学のシンポジウムがここで行われ、一つは1993年2月で、もう一つは1994年1月のことでした。3つ目は1995年12月に予定されております。これらのシンポジウムには世界中の多くの国から一流の心臓病学者や心臓外科医が出席されました。これらの会議はバガヴァン・シュリ・サティア・サイババによって主宰され、バガヴァン・ババはこの病院の今後の治療に関する指導的原理及び原則を公表されました。また、このシンポジウムにはインドの大統領、厚生大臣、その他の我が国における厚生省高官等のインドの指導的立場にある人達が出席されました。
開設後30ヶ月の泌尿器病科では、3,271の手術と、3,041の透析が行われ、また58の腎臓移植手術が実施されました。また、この泌尿器病科の外来病棟では、24,983人以上の患者が検診、診断、治療を受けました。
眼科は、あらゆるタイプの眼病の治療を施すことのできる、最新の網膜手術、レーザー治療、光凝固術、冷凍手術を行っております。多くの角膜性盲人の要求を満たすために、近代的なアイ・バンクが設立されつつあります。この眼科では目の外傷、角膜移植、硝子と網膜の病に対して679以上の手術を施しました。眼科の外来病棟では、12,181以上の患者が検診、診断、治療を受けました。
この病院の研修生に対する全ての研修コースは、患者を肉体的、精神的そして霊的に健全な状態に復帰させるための理想的な健康医になりたい、と言った望みと熱意を研修生に起こさせるようなものとなっております。
この病院は他の病院から孤立したものではなく、第2次レベルの健康センターの頂点に位置し、この第2次レベルの健康センターは、約4,000のサティア・サイ・セバ・オーガニゼーション・センターがあるインド全土に設けられた第1次レベルの健康促進センターに基礎を置いております。患者は、通常、これらのセンターからこの病院にまわされ、そして患者の近くのシュリ・サティア・サイ一般病院の形態をとった第2次レベルの健康センターで検査されてフィルターにかけられ、次いで患者がこの病院にまわされるようになっており、このようにして、患者を一般医から専門医へ、また専門医から一般医にまわすと言った信頼性に富んだシステムを採用しています。
澄み渡った霊的環境に設立されたこの生まれたばかりの病院である、シュリ・サティア・サイ・高等医療科学病院は、近代世界においては不可能と思われていたこと、即ち、「人類に全て無料で最新技術を用いた診断と処置を施す」ことを達成すると宣言しました。それは不可能とされていたことが、バガヴァン・シュリ・サティア・サイ・ババの愛情あふれた慈悲と祝福によって成し遂げられたものとして、遠い国まで広く行き亘って歓迎されております。
人間社会の発展機構を根本的に分析してみますと、人間の善に著しく貢献しているものは機械とか建物ではなく、重要なのはこれらの建物とか機械の背後にいる人間であります。良い動機のもとに人間的価値の基本的原理に献身的な努力をしている人達が、社会を不安と病弊と苦難から平安と健康的な生活と喜びの状態に変貌させる主な動因となっております。このことから、この治療の寺院が愛と憐れみと喜びの使徒の導きのもとに設立された真の意義が何であるかを容易に理解することはできるでしょう。人間の心を変貌させる奇跡を日夜行っておられるバガヴァン・シュリ・サティア・サイ・ババは、機械と建物の背後にいる人間に、人間が本来すべきことをするように仕向けているのです。
私達は、この病院が世界中、或いはこの国、はたまたアンドラ・プラデッシュ州の全ての患者を治療できるようになることを望んでいるのではありません。これとは全く異なり、私達はこの病院のような献身的な行為による患者の救済計画を達成するには、多くのこの種の病院が必要とされることを知っております。シュリ・サティア・サイ・高等医療科学病院は他の病院を形成する際の単なるモデルにすぎないのです。
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