サイババの御言葉:愛は神を悟るための王道

日付:2004年1月27日・場所:プラシャーンティ ニラヤム
アリケーとムッデナハッリのサティヤ サイ ローカ セヴァ協会25周年記念祭の御講話より

愛は神を悟るための王道


神の聖なる御足は宇宙と同じほど巨大であり、
大空と同じほど広く満ちわたっている
神の聖なる御足はパーターラローカ〔冥界〕にさえ届いている
神の聖なる頭はブラフマーンダ(宇宙)の果てのさらに先に横たわっている
神は、近寄り難く、知覚不可能な、比類なきものである

(カンナダ語の詩)


愛の具現である皆さん! 生徒諸君、教師と教育者の皆さん!

私はカナンダ語〔カルナータカ州の言語〕でスピーチをするのを難しく感じています。こうした事には地道な練習が必要とされます。一つの物事を地道に行っていけば、その道の達人となります。私にはめったにカナンダ語を話す機会がなく、しょっちゅう話しているわけではありません。N・カストゥーリは、30年間ほどプラシャーンティ・ニラヤムに住み、いつも私と共にいました。カストゥーリは、そのセヴァ サーダナ〔奉仕による修行〕の黄金のチャンスを有効に使いました。カストゥーリは独創力あふれるカナンダ語の著述家として名が通っていました。彼は、「カナンダ カストゥーリ」として広く知られていました。彼はとても純粋で神聖でした。カストゥーリの立派な人となりを見るだけで、人はカナンダ語の芳しさと神聖さがわかりました。そのように極めて芳しい言語で話すというのに、私はここかしこで間違いを犯す可能性がありそうです。

ナーラーヤナ・バットの先駆者としての努力

ナーラーヤナ・バットは、カルナータカ州に二つの学校を設立しました。一校はダクシナー・カンナダ県のアリケーに、もう一校はコラーラ県のムッデナハッリに設立しました。彼は、サティヤ・サイ教育の原理原則に従って両校を模範となる学校へと育てるために、長年にわたって懸命に働きました。両校の発展のために、彼は様々な関係筋や多くの慈善家たちから借金をしなければなりませんでした。しかも、その借金を完済するために悪戦苦闘しなければならなりませんでした。彼と彼の母親は、ずいぶん多くの村や町へ赴いて、お金を工面するために様々な人々に働きかけました。しかし、負債は増え続ける一方で、減る兆しは一向に見えませんでした。あるとき、ナーラーヤナ・バットは私のところへ来て、未払いの負債がどれほど多くの心配の種となっているかを手短に説明しました。彼は私に懇願しました。

「スワミ、“アンニャター シャラナム ナースティ トワメーヴァ シャラナム ママー タスマート カールンニャ バーヴェーナ・・・”(私にはあなた以外に拠り所がありません。あなたは私の救い主です。どうか私に慈悲を示し、私をお守りください)。スワミ、私はあなたに乞い、嘆願いたします。どうか二校を引き継いで、新しい命を吹き込んでください。」

そこで私は彼に言いました。

「ナーラーヤナ・バットよ! 健康と教育は万人にとって不可欠です。それはわかります。しかし、今、私にそれらの学校を渡してはなりません。自分にできる限り長く自分で学校の面倒を見なさい。」

私は彼が行っている奉仕活動を続けていくよう励ましました。私はナーラーヤナ・バットを祝福して言いました。

「幸せでいなさい。霊的な真理を教え続けなさい。」

しばらくして、ナーラーヤナ・バットはさらに多くの熱意と活気にあふれて働きだしました。学校は急速に発展しました。模範的な学校として称賛されました。実に、ナーラーヤナ・バットは、あらゆる霊性の求道者と奉仕の精神を抱く人々のかがり火です。

ヤッド バーヴァム タッド バヴァティ
(思考は結果となる)


やがて、多くの善良な教師たちがナーラーヤナ・バットに加わりました。彼らは皆、人格者で、知的で、犠牲の精神に満ちた人々でした。彼らはすべてを放棄して、ナーラーヤナ・バットをしっかりと支えました。現在、その献身的な教師たち全員が一丸となって、とても能率的に学校を運営しています。

アリケーとムッデナハッリの学校によって掲げられた高潔な理想

ナーラーヤナ・バットは自分の任務を遂行し、来る日も来る日も疲れを知らずに働きました。しかし、彼の時間は間近に迫っていました。肉体は時と共に去ります。

カーラーヤ ナマハ、カーラ カーラーヤ ナマハ、
カーラダルパ ダマナーヤ ナマハ、カーラーティーターヤ ナマハ、
カーラスワルーパーヤ ナマハ、カーラーニヤミターヤ ナマハ

(時間に平伏いたします、時間を凌駕するお方に平伏いたします、
時間を征服したお方に平伏いたします、時間を超越するお方に平伏いたします、
時間の権化であるお方に平伏いたします、時間を定めるお方に平伏いたします)


時間は絶対です。人は誰もが時間に屈服しなければなりません。時が経過し、1978年にナーラーヤナ・バットは不慮の自動車事故に遭遇しました。それは致命的な事故で、彼は即座に肉体を去りました。彼の組織は母親を失いました。組織は孤児となりました。それから、ガンガーダラ・バット、ナーラーヤナ・ラーオ、ナラシンハ・ムールティと他の人々が、私のもとにやって来て言いました。

「スワミ、あの日、あなたは学校の面倒を見ると約束してくださいました。どうか学校を引き継いで、私たち皆をお守りください。」

彼らは強く懇願し、私に訴えました。

私の意図は、現在の教育制度に正しい方向を与えることです。私は何であれ正しい方向にある望ましい動きを常に奨励します。ヴィッディヤー〔高次の知識〕は、人間の生活において重要な役割を担っています。ヴィッディヤーのない生活は無益です。人は真のヴィッディヤーを学び、他の人々を正しい道に導くために、それを分かち合わなくてはなりません。それが、私が教育の分野でしようとしていることです。もし私がアリケーとムッデナハッリの学校を引き継いだら、両校の前に立ちふさがる負債の重荷を私が背負わなければならなくなります。それはわずかな金額ではありませんでした。当時のお金で100万ルピー〔数千万円〕でした! しかし、教師たちは皆、祈っていました。

「スワミ、あなたは私たちの主であり、救済者です。あなたは私たちを救ってくださらなくてはなりません。」

彼らの真剣な祈りに、私のハートは溶けました。私は学校を引き継いで、未払いの負債をきれいさっぱり返済しました。

それ以来、私はプラシャーンティ・ニラヤムとブリンダーヴァンの間を移動するとき、ムッデナハッリに立ち寄りました。私はよく、愛しい子供たちに話しかけ、彼らを感激させたものでした。

ダルシャナム パーパ ナーシャナム、
スパルシャナム カルマ ヴィモーチャナム、
サンバーシャナム サンカタ ナーシャナム

(神の御姿を見ることは、すべての罪を滅ぼし、
神に触れることは、カルマの鎖を解き放ち、
神と対話は、すべての苦しみを滅ぼす)


こうして、私は子供たちに、ダルシャン〔拝見〕、スパルシャン〔接触〕、サンバーシャン〔対話〕を与えました。教師たちも励まされ、幸せに感じました。教師たちは、すべての心配事と問題から解放されて、くつろいだ心で働き、学校を今のレベルにまで至らせました。今、学校に負債の重荷はありません。学校は世間の注目を引くような際立った進歩を遂げました。教師たちはとても善良です。教師たちはお互いの良いところを認め合い、それらを生活の中に取り入れて、そうすることで自分たちの道徳的、霊的レベルを引き上げています。彼らは悪い仲間や自らを貶める仲間には入りません。あなた方は自分が付き合う仲間によって判断されます。

あなたの仲間を言ってごらん
そうすれば、あなたがどんな人かを言い当てよう


霊的な生活においては、交友関係が極めて重要な役割を果たします。教師は常に善良な仲間を好むべきであり、そうすることで、学校の成長の役に立つべきです。アリケーとムッデナハッリの教師たちは、それをしています。彼らは学校の内面的な強さを育成しています。両校は素晴らしい進歩を示してきました。今、両校はカレッジの段階に達しています。両校はすでに多くの名声を勝ち得ています。人々は両校をサティヤ サイ ローカ セヴァ カレッジと呼んでいます。両校は数年のうちに正真正銘のカレッジとなることでしょう。それと同じ水準に達するには、他のサイ オーガニゼーションの学校は、多大な努力を払わなければならないでしょう。

両校に通学している生徒たちは、遠方から通っています。いくらかの距離を歩いてから、さらにバスに乗って学校に通っている生徒もいます。両校の校長たちと教師たちは、良く進歩するために、互いに協力し、助け合い、完璧を目指して歩んでいます。両校の生徒たちは高い道徳と霊性の基準を持っています。生徒諸君は悪い仲間を完全に避けるべきです。いつも善良な人々とかかわっているべきです。言葉と振る舞いと行いが善良な生徒たちのグループに常に加わるべきです。そうすることで、諸君は最高の卓越に達するでしょう。トレーターユガの時代、ラクシュマナは、間近でハヌマーンを観察してラーマに報告しました。

「スワミ、ハヌマーンは徳があり強力です。ハヌマーンは非常に有能にスグリーヴァ〔猿の王〕に仕えています。ハヌマーンとのサットサンガ〔善き交わり〕を得たことは、スグリーヴァの幸運です。ハヌマーンとの交わりはスグリーヴァを助け、スグリーヴァの苦難をすべて取り除きました。」

それと同じように、生徒諸君は、善い仲間と交わることで善良になるべきです。ムッデナハッリに行くのは、かねてより私の好むことです。以前、私は頻繁にムッデナハッリに行き、子供たちに会い、その時々にふわさしい助言をして教師たちを導いていました。しかし、時代は変わりました。変化する状況の下で、私はかつてほど簡単には行けなくなりました。今ではたくさんの車が私の後を追ってきます。それほど大勢の人々には、最小限のもてなしを提供することさえ、とても難しいのです。どうして私が教師たちに不必要な面倒をかけなければならないでしょう? そのため、私は訪問の回数を減らしました。

ガンガーダラ・バットの献身と信愛

今度はアリケーの話をしましょう。アリケーもムッデナハッリの学校と共に私に手渡されました。アリケーは近くはなく、ここから遠い場所です。私自身が頻繁にアリケーに行くことは不可能です。だからといって、私がアリケーに行きたくないわけではありません。アリケーの人たちは、長年の間、私の訪問を祈ってきました。ある特別な機会に、ガンガーダラ・バットが特に私に非常に強く懇願したので、私はその熱烈な祈りに屈服するしかありませんでした。実際、彼はこう言いました。

「スワミ、私たちは年老いてきました。少なくとも一度は私たちの村に来てくださるべきです。あなたは私たちの救い主です。あなたは私たちに救いを授けてくださらなくてはなりません。」

彼は身を伏せて熱烈に私に祈りました。私はとうとう彼の気持ちと感情に屈しました。私は早急にヘリコプターを借りて、アリケーに行きました。皆さんは、なぜ私がアリケーに急行しなければならなかったのかを知らなければなりません。ガンガーダラ・バットの祈りは、ハートから真っ直ぐ出てきたものだったからです。

あの大きな責任を背負い、進歩に向けて学校を導くことのできる者は、今でもガンガーダラ・バット以外、他には誰もいません。ですから、私は彼に言いました。

「ガンガーダラ・バットよ、ずっとそこだけにいなさい。私の映しとして、そこに留まりなさい。すべての行為には、反映、反動、反響があります。自分の言葉に私の見解を反映させるやり方で行動するようにしなさい。自分が動き回る場所はすでにスワミが踏みしめた場所である、という気持ちを抱かなければなりません。自分の義務を遂行している間、実際にはスワミがこれを行っているのだ、という気持ちでそれを行いなさい。学校を離れてはいけません。」

私が彼にきっぱりと話した後、ガンガーダラ・バットは、スワミの命令としてその任務に着手し、自分の果たすあらゆる義務に精魂を傾けて前進しました。現在、両校は好調に前進しています。それを見ることは、私に大きな喜びと幸福を与えてくれます。今、両校は早足で成長しています。昨日そこで見たものを、今日、見ることはないでしょう。とても成長が速いのです。それは献身的な教師たちのおかげで可能になりました。

エデュケアの真の意味を理解しなさい

私たちの学校と大学(サイ大学のプラシャーンティ ニラヤム校、ブリンダーヴァン校、アナンタプル校)も、少なからぬ発展を見せてきました。成長は内面のものなので、万人がそれに気付くことは不可能です。内面の成長がエデュケア〔真の教育〕です。エデュケアは私たちの隠れた神聖な価値を引き出します。価値は教えられるものではなく、外に現れてくるものです。様々な書物からの単なる情報の蓄積は、エデュケアではありません。それはエデュケーション〔世間一般の教育〕です。エデュケアとは、ハートの中の神聖な蓮の花が開くことです。エデュケアは、私たちを万物に対する価値のレセプター〔受信器〕であるだけでなく、バイブレーター〔振動器〕とラジエーター〔放熱器〕にすることを可能にします。価値は行動に移されるべきものです。つまり、教えと実践は等しく重要なのです。

エデュケアの原理はどのようにして実践すればよいのでしょうか? 現代の少年少女の多くは、エデュケアの原理に関する知識を持ち合わせていません。生徒たち一人ひとりが、エデュケアに関するすべてと、その重要性を知ることが絶対に必要です。各生徒の中に隠れている力が引き出されなければなりません。その力は、生徒のあらゆる行動において、反映、反動、反響として役割を果たさなければなりません。以上のように、教育の過程は、生徒たちを隠れた力の反映へと変容させるようなやり方で機能しなければなりません。生徒たちは、正しく形作られ、立派に形成されなければなりません。私たちの学校は理想的な学生を輩出して世に送り出しています。

サティヤンナースティ パロー ダルマハ
(真実を貫くこと以上に偉大なダルマはない)

真実以外は話すべからず
起こった出来事は正直に報告すべし
自分がしたことはすべて、ありのまま正確に語るべし


真実というものの意味を解釈するとき、ほとんどの人はこのように言い、また、そう信じています。しかし、これは広い解釈の一つの次元にすぎません。同様に、皆さんはエデュケアにはずっと深い意味があることを理解しなければなりません。実際、サティヤ(真理、真実)はエデュケアです。ダルマ(正義)はエデュケアです。インドをあらゆる危険から守っているのは、サティヤとダルマにほかなりません。サティヤとダルマは外から入って来るものではありません。外から入って来るものはすべて、永遠ではありません。それは、今日やって来て、明日には去って行きます。しかし、人のハートから現れ出るものは永遠です。エデュケアは、ハートから生じ、他のハートだけに向かわなければなりません。

最近、インドの有名大学25校の学長たちが、価値教育に関するセミナーに参加するため本校〔サティヤ・サイ大学プラシャーンティ・ニラヤム校〕を訪れました。参加者たちは皆、エデュケアについてよく知りたがりました。また、自分たちの教育課程にエデュケアを導入する方法も知りたがりました。

ヴィッディヤーナースティ パローダルマハ
(高次の知識よりも偉大なダルマはない)


それゆえ、人は真のヴィッディヤーを手に入れなければなりません。真のヴィッディヤーの源はハートです。単に情報を蓄積することはヴィッディヤーではありません。ヴィッディヤーは永遠の至福です。真のヴィッディヤーはエデュケアです。一方、エデュケーション〔世間一般の教育〕の源は頭です。エデュケアがハートの源から始まってブッディ(理智)を通して外に現れてくるのに対して、エデュケーションはマインド(心、思考)から現れる単なる書物の知識にすぎません。エデュケアは、「ブッディグラハヤマティーンドリヤム」(五感を超越しており、理智によってのみ把握され得る)ものです。

あなたのすべての行為に愛を染み込ませなさい

どんな活動をしようとも、愛がその基盤であるべきです。愛のないプラーナ(生命)は存在しません。愛のない生命はまったく無益です。教育制度は、人のハートの中に愛の原理を養うようなものへと変わるべきです。サティヤ(真理、真実)とダルマ(正義)はプレーマ(愛)の反映です。それは大変望ましいプラシャーンティ(至高の平安)をあなたに授けます。もしあなたのハートから愛が湧き上がれば、それで十分です。それはあなたに救いをもたらすでしょう。ドワーパラユガの時代、ゴーピカー〔牧女〕たちはクリシュナにこう言いました。

主よ! どうか私たちの不毛のハートに、
愛の甘露を降り注いでください、愛の種を蒔いてください
どうか私たちのハートから愛の洪水が流れ出てきますように!


ゴーピカーたちは、自分たちのハートの切望をかなえてほしいと、真剣にクリシュナに祈りました。もし世界を繁栄させたいのなら、世界に愛の雨を降らせなくてはなりません。聖なるバーラタ国は、太古の昔より特に信愛と全託の重要性を強調してきました。バーラタは、生活のすべての領域において、人類にとっての高尚な理想を定めてきました。

どの生き物もハートに愛を持っています。もし愛を持っていなければ、人間ではありません。愛は生まれた時から私たちと共にあります。私たちは過去世における数々の功徳の報いとして、現在の肉体を手に入れました。肉体は愛が染み込んだときにのみ、神聖なものとなります。ですから、愛の原理を養わなければなりません。そうすれば、あなたの人生は神聖なものになります。相手が誰であるか、何をしているかにかかわらず、あなたは万人への愛を育てなければなりません。子供が親に愛を示すのは自然なことです。全人類への愛を持つよう子供を形作ることが重要です。愛はヴィッディヤーのあらゆる側面を包含しています。

生徒たちが学校やカレッジで手に入れる知識は、情報志向の知識だけです。単なる書物の知識は少しも重要ではありません。愛の拡大こそが、とても重要です。あなたの思考は浄化されなければなりません。清らかなハートだけが神を理解します。知的推論は神を悟る助けにはなりません。清らかな思考は、清らかな生活の別名です。愛は神です。神は愛以外の姿をとりません。私はあなた方全員が、ハートの深い奥底に愛の原理を据えることを望みます。

愛はあなたのプラーナ(命)です。あなたに愛があればそれで十分です。愛はすべてを贖います。愛は、どんな苦しみも、困難も、苦痛も、苦悶も寄せつけません。愛は甘美さが形をとったものです。

シルンヴァントゥ ヴィシウェー アムルタッスヤ プットラハ
(おお、不滅の子供たちよ! 聞きなさい)


あなた方は、アンリタプットラ(非真の息子)ではなく、アムリタプットラ(不滅の息子)です。自分は非真の息子だと考えることで、自分自身を弱めてはなりません。自分はアムリタプットラ(不滅の息子)であると感じなさい。そうすれば、あなたのハートの中の愛の木が育ち、アートマの至福という果実を授けてくれることでしょう。

肉体に執着してはなりません。肉体への執着を取り除きなさい。あなた方はアートマの原理を悟らなければなりません。アートマ意識の海に浸かりなさい。肉体への執着を持っている限り、アートマの原理を理解することはないでしょう。「私は誰か? 私はどこから来たのか? いつまでここ〔地上〕にいるのか?」と、自己探求をしなければいけません。霊的な探求の一切は、これらの質問で始まります。自分はアートマであると感じると、あなたはアートマ原理を沈思黙考しはじめます。「アートマとは何か? アートマとは何か?」と、あなたは真剣に考えます。この探求をすることで、あなたはアートマの原理を理解するようになるでしょう。

あらゆるものは名と姿を持っています。しかし、アートマには名も姿もありません。もし、アートマの原理を理解するなら、あなたはパラマートマの原理を理解するでしょう。それは、パラマ トルプティ(至高の満足)、パラマ アーシャー(至高の望み)、パラマ ガミャ(至高の目的地)、パラマ サティヤ(至高の真理)です。アムルタットワ(不滅)を悟るためには、あなたが愛の権化にならなければなりません。あなたが愛を放射しなければなりません。すべての人を自分の兄弟姉妹として接しなければなりません。人があなたに話しかけようと、話しかけまいと、あなたはその人を自分の兄弟だと考えなければなりません。もし生活のあらゆる場面でこれを実践できれば、あなたのハートに愛が育つでしょう。あなたには敵対している人が何人かいるかもしれません。その人たちは自分を憎んでいるとあなたは考えています。その人たちを敵と考えてはなりません。その人たちを憎んではなりません。そうではなく、その人たちに出くわしたときには、いつでも愛を込めて話しかけ、「兄弟よ、お元気ですか?」と尋ねなさい。そうすれば、相手の敵対感情はただちに敗北を喫することでしょう。相手があなたに抱いていた極度の嫌悪感は消え去り、ハートから愛が芽吹いてくるでしょう。二人は自然に友人になるでしょう。愛がハートを占めていれば、嫉妬や憎しみといったものはハートに入ることができません。あなたは完全な平安を手に入れることでしょう。人々は、「私たちは平安がほしい。私たちは平安がほしい」と言います。平安は天国から落ちてきません。平安は愛から生じなければならないものです。愛は神を悟るための王道です。

あなたが人間として生まれた目的は何でしょう? それは、ただ食べて、ぶらぶらして、お祭り騒ぎをすることではありません。あなたは愛の原理を悟るために生まれたということを理解しなければなりません。もし愛があなたのハートに開花するなら、あなた自身がパラマートマ(神)になるでしょう。ここかしこに神を探す必要はありません。神はあなたの中にいます。神は愛の姿をまとっています。人間は、自分の生まれ持った神性を認識しない限り、二元性から逃れることはできません。あなたの愛を拡大するようにしなさい。愛に生きなさい。

無私の奉仕が真の苦行

この節目に、私はガンガーダラ・バットのことを、もう少し話しておきたいと思います。ガンガーダラ・バットは、ナーラーヤナ・バットの信頼を受けた追随者であり、頼りになる人物でした。ガンガーダラ・バットは、まさしくナーラーヤナ・バットの右腕でした。あるとき、ナーラーヤナ・バットは、ガンガーダラ・バットに言いました。

「ガンガーダラ・バットよ! 学校の福利のために誠実に奉仕しなさい。困難にぶつかったときはいつも、バガヴァン・サティヤ・サイに祈りなさい。そうすれば、バガヴァンが御自ら一切の面倒を見てくださるだろう。」

その日以来、今日に至るまで、ガンガーダラ・バットは完全にスワミに頼りきっています。彼はスワミへの揺るぎない信心を持っています。スワミは彼のパラマートマ〔至高神〕です。彼はサイ パラマートマが自分を導いてくれると信じています。彼はそのような全託の気持ちを抱いています。彼は信愛と献身をもって自分の義務を果たしています。彼はアリケーとムッデナハッリの両校の発展を願って、誠実に働いています。実際、両校はガンガーダラ・バットの誠実なリーダーシップの下で繁栄しました。私は2年前(2002年)にアリケーに行きました。私はアリケーがすっかり変わっているのを見て唖然とました。私が1979年に初めてアリケーに行ったときには、小さな建物が二つ三つあるだけでした。今ではアリケーは町になっています。そのこと自体は別に偉大なことではありません。アリケーの偉大さは内面の強さにあります。単なる建物では不十分です。人々は町や都会で高価な家や高層ビルを建築します。人々は家がすべてだと考えています。彼らにはハートの清らかさがありません。彼らのハートは、よこしまな考えや計略でいっぱいです。そのような人々は愛の原理を理解しません。思考と言葉と行いの清らかさは、人間にとって基本的な必要条件です。

以上のように、ガンガーダラ・バットは、どんな困難や不快な状況にも勇敢に立ち向かい、組織を運営してきました。あるとき、彼は私に言いました。

「スワミ、私にはすべての業務を効果的に管理するのは無理です。私は年老いてきました。すべてを管理するには、肉体的にも精神的にも強靭である必要があります。誰かすべてを上手に管理してくれる善良な人を選任してくださるよう、真剣にお願いします。」

実のところ、私の目にはすべての人が善良に見えます。悪い人は一人もいません。人々は誰かを悪いと考えます。それだけのことです。それは人々の感情でしかありません。悪は私たちの思考の中に存在しています。誰の中にも愛が存在しているので、人は誰もが善良なのです。私はガンガーダラ・バットに言いました。

「今の地位を退いてはなりません。今の地位に留まっていなさい。心配してはいけません。私がいつもあなたを助け、導きます。私がすべての面倒を見ます。」

私の言葉は彼に勇気と自信を与えました。彼は熱心に自分の仕事を続けています。もしその地位を手放したら、彼はどこへ行けるでしょう? 彼はどこかよそへ行って苦行をしなければならないでしょう。苦行とは何でしょう? 何もしないで、ただ時を過ごすことは、苦行ではありません。ただ一箇所に座って「ラーマ、ラーマ、クリシュナ、クリシュナ」と唱えることも、苦行ではありません。真の苦行とは、絶えず善良な仕事をし、常に善良な考えを持ち、自分の中に善良な性質を育てることです。家を出て森へ行き、シールシャアーサナ(頭で倒立をするポーズ)をとって「私は苦行をしています」と宣伝することは、まったく苦行などではありません。それは実際、偽りの苦行です。ハートに愛を培い、愛を込めて話し、あらゆる仕事を愛を込めて行いなさい。愛の中にいなさい。これが真の苦行です。アリケーとムッデナハッリの教師たちは真の苦行をしています。それが、ハートの清らかな生徒たちを両校が生み出している方法です。

この祝典のためにここへ来た生徒たち皆を見るのは嬉しいことです。今日、幼い子供たちが演壇に上がって立派に話をしました。子供たちは見事にアートマを描写しました。特に、一人の高校生の男子は愛に満ちたハートで話しました。彼は何と誠実な気持ちを持っていることでしょう! 私は本当に嬉しく思いました。これが真のヴィッディヤー〔高次の知識〕です。私はよく我々の学校当局に、大学に入れる生徒を選ぶときにはアリケーとムッデナハッリの少年たちを最優先するようにと言っています。時に、両校の生徒たちはジャガット サティヤ(世俗の知識)においては少々遅れをとっているかもしれません。しかし、彼らはアートマ サティヤ(アートマの知識)を大変よく知っています。私はいつも、ここにいる皆に、彼らを置き去りにしてはいけないと言っています。ここで、一人の幼い少年が愛情を込めて話をしました。彼は美しい言葉で私への愛を表現しました。私は大変嬉しく思いました。それこそ私が望んでいることです。私は、皆さんが全世界を私に捧げると申し出ることなど求めていません。私が求めているのは皆さんの愛です。私にあなたの愛をください。私にはそれだけで十分です。あなたのハートの畑に愛の種が芽吹くべきです。やがて、それはカルパブリクシャ(願望成就の木)に成長するでしょう。そうすれば、世界は繁栄するでしょう。

生徒諸君!

諸君は両親の言いつけに従わなくてはなりません。

マートゥル デーヴォー バヴァ
ピトゥル デーヴォー バヴァ
(あなたの母と父を神として敬いなさい)


皆さんは両親から生まれました。母親はあなたの幸運の作り手です。母親はあなたの進歩に責任があります。母親の望みに反する行いをしてはなりません。母親の言うことに反抗してはなりません。愛をもってあなたの母親に接しなさい。そうすれば、あなたは母親の恩寵を得るでしょう。母親はローカマータ(宇宙の母)であり、ジャガンマータ(世界の母)です。母親はあなたの肉体だけに関係しているものだと思ってはなりません。あなたの産みの母は、あなたの母親の姿をとってやって来たジャガンマータ(世界の母神)なのです。ガンガーダラ・バットは、優しく愛を込めて自分の母親に奉仕しました。母親への誠実な奉仕の報いとして、彼はスワミを手に入れました。だからこそ、スワミはこれほど近くに彼を引き寄せ、大切にしてきたのです。

ナラシンハ・ムールティは、〔1983年に〕プラシャーンティ・ニラヤムに来て寮監の任に当たりました。ある日、彼は私のところへ来て言いました。

「スワミ、私の母が危篤です。母は癌なのです。」

私は彼に尋ねました。

「愚かな少年よ! あなたは私に母が危篤だと言っています。どの母のことですか? それはあなたの肉体の母親です。肉体の母親は永遠ではありません。永遠の母、不滅の母につかまりなさい。」

数日後、彼はまた私のところへ来て言いました。

「スワミ、母が亡くなりました。」

私はナラシンハ・ムールティを慰めて言いました。

「ナラシンハ・ムールティよ、ここに留まりなさい。プッタパルティを離れてはなりません。ここはあなたの生まれ故郷です。スワミはあなたの母親です。私がすべての面倒を見ましょう。」

ナラシンハ・ムールティの母親は高潔な魂の持ち主でした。彼女はよく言ったものです。

「ナラシンハ・ムールティよ、たとえ逆境に遭っても、スワミから離れてはいけません。いつもスワミと共にいなさい。」

どの母親も愛の原理に満ち溢れています。母は、とても多くの神と女神に我が子の幸福と進歩を祈ります。あなたの母親の無私の愛を理解するよう努めなさい。誰もが愛を込めて自分の母親の面倒を見るべきです。

翻訳:サティヤ・サイ出版協会
出典:Sathya Sai Speaks Vol37. C4
(カナンダ語での御講話)

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