サイババの御言葉
 
ジャヤとヴィジャヤの物語

 昔々、4人の聖者(サナカ、サナンダナ、サナトクマーラ、サナツジャータ)がヴィシュヌ神のダルシャンを受けに行きました。4人の聖者は永遠に若く、その心は幼子のように純真で汚れを知らなかったと伝えられています。 聖者たちは三つの属性(訳注:浄性・激性・鈍性)と、自分は肉体であるという意識を超越していました。 永遠に子供の状態でいられるという恩恵を授かっていた彼らは、無垢な幼子がそうであるように衣をいっさい身に纏(まと)うことなく歩き回っていました。しかし、ヴィシュヌ神の門番であるジャヤとヴィジャヤは、聖者たちがそのような格好のままヴィシュヌ神の住まいに入ることを許しませんでした。 聖者たちは、神は三つの属性を超越しており、自分たちも三つの属性を超越したものとしてヴィシュヌ神のダルシャンを受けにやって来たのだと抗弁しました。しかし、その門番たちは聖者たちを中に入れようとはしませんでした。 怒りにかられた聖者たちは、門番に悪鬼として生まれ変わるよう呪いをかけました。聖者たちに呪いをかけられた二人の門番は、ヴィシュヌ神のところに行くと、 「主よ!私どもはこれからどうなるのでしょう? 私どもはあなた様のダルシャン以外何の望みもございません。あなた様のダルシャン(姿を見ること)は私どもの喜びです。あなた様へのスパルシャン(触れること)は私どもの糧です。あなた様とのサンバシャン(言葉を交わすこと)は私どもの呼吸です。私どもはあなた様のダルシャン、スパルシャン、サンバシャンをただひたすら願っているのです。一時も早くあなた様と一体になれますようにと祈っているのです」と訴えました。

 門番たちの請願に心を動かされたヴィシュヌ神は「聖者たちの言葉は取り消すことができない。呪いの通 り、おまえたちは悪鬼に生まれ変わらねばならない。しかし、おまえたちの祈りとわたしの恩寵が、おまえたちをわたしのところに連れ戻すであろう。聖者たちの呪いを取り消すことは誰にもできない。しかし、わたしはおまえたちに二つの選択をあたえよう。わたしに帰依する悪鬼となって、九回生まれ変わった後にわたしのところに戻ってくるか、それとも、三度だけ生まれ変わってわたしのところに戻ってくるか。その三生では、悪鬼であるおまえたちはわたしの敵となり、わたしに対する激しい怒りと憎しみに満たされることになる」と言いました。 ジャヤとヴィジャヤの二人の門番は悪鬼として三度生まれ変わるほうを選び、しかる後にヴィシュヌ神に到達しました。彼らは、「サルヴァダ、サルヴァカレーシュ サルヴァトラ、ハリ ドーシャナム」(いついかなるときも神を非難し侮辱する)という義を固く守り通 したのです。 もしみなさんがクリシュナを泥棒と呼んだとしたら、クリシュナ神の帰依者たちに喧嘩をしかけられるでしょう。 けれども、バジャンで「チッタチョーラ ヤショーダ ケ バール ナヴァニータ チョーラ ゴーパール」(ヤショーダの子よ、あなたはハートを盗むお方、そしてバターを盗むお方)と歌うなら、クリシュナ神の帰依者はみないっしょになって歌うことでしょう。 これはクリシュナ神を泥棒と呼ぶのと同じではありませんか? しかし、信仰の音楽によってそれらの言葉に甘美さが加えられ、あざけりは消えてしまうのです。

(サナータナ サラティ 2000年8月号 p249-256、2000年5月16日の夏季講習の講話より)

 


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