2016/1/10

 2016年最初の定例会の報告です。

ヴェーダクラブ
埼玉センターでは、当日の参加者に応じて、プログラムを実施することがあります。今回はヴェーダクラブで、埼玉では初めて学習するヴェーダを取り上げました。それは、「シヴァ パンチャクシャリーマントラ」というマントラで、シヴァ神をたたえる強力なマントラとして知られています。このマントラを唱えながら、ヴェーダの5つの唱え方についても合わせて学習しました。5つの唱え方とは、サンヒターパータハ、パダパータハ、クラマパータハ、ヂャターパータハ、ガナパータハの5つで、2012年にヴェーダナーラーヤナン先生が来日された時のスピーチでお話しされていたものでした。
 資料は、Mantra Pushpam(マントラ プシパム)という本です。この本は、かつてプッタパルティのサイの学生がヴェーダを学習するのに使用していた本で、デーヴァナーガリー文字(ヒンディ語やサンスクリット語を表記する文字)で記載されています。現在は、SSSBPT(インドにある公式のサイ文献の出版協会)から、アルファベット文字で記載されたヴェーダ テキストが多数発売されていますが、10年前には、このような本はほとんどありませんでした。Mantra Pushpamの本には、膨大な量のヴェーダが記載されているのですが、それでもよく唱えられるヴェーダの一部のみが収録されているようです。古の時代からシルティ(口伝)で伝わってきたヴェーダの全体は、創造を超えるものであると感じました。
 このMantra Pushpamのヴェーダの5つの唱え方が書いてあるページを、アルファベットと日本語に翻訳したシートを資料として作成しました。
 紙に書くことも、CDに録音することもできなかった時代に、膨大な量のヴェーダを伝えるために、賢人はさまざまなヴェーダの唱え方を用いて、正確に伝えていたことが実感できました。また、ガナータハの唱え方は同じ言葉が何度も繰り返され、非常に力強いものとなります。プッタパルティで唱えられることもあるようです。ガナパティ プラールタナーやガーヤトリー マントラ、ナマカムなどのよく唱えられるヴェーダのガナパータハは、今までよく知っていたヴェーダが、全く新しいものに生まれ変わったように感じられます。今回は、ほんの数秒で唱えられる長さのシヴァ パンチャクシャリーマントラを、5つの方法で何度も繰り返し唱えました。

スタディーサークル
テーマは「内なる声」で、資料は「真の教育 サティヤ サイ エデュケア講話集」P36-38を使用しました。この部分では、良心(コンシェンス)、顕在意識(コンシャス)、意識(コンシャスネス)について、以下のように説明しています。

1.「意識」はすべてを取り巻いている神性で、この「意識」から「顕在意識」が肉体の中に入ります
2.人の肉体の中にあるアートマ原理が「良心」です
3.「顕在意識」は肉体と感覚に関連する意識です

 1から3の箇条書きで分かりやすかったのですが、さらに分かりやすいように意識を風船に例えた説明がありました。

子供が風船で遊びます。風船が割れて、風船の中にあった空気が外の空気と溶け込むまでは、風船は膨らんでどんどん大きくなります。空気が風船の中にある間は「良心」です。風船が割れて中の空気が外の空気と混ざると、「良心」は「意識」になります。

 「良心」は辞書では、「善悪・正邪を判断し、正しく行動しようとする心の働き」とあります。しかし、上の文章で使われている「良心」は、さらに精妙なもので、アートマと本来は一つであったものです。風船の中の空気と風船の外の空気が、良心とアートマに例えられると、イメージしやすかったです。

 日常生活で、私たちは選択に悩む場面によく出会います。そんなとき内なる声に耳を傾けます。そして内なる声が聞こえたと思ったとき、それが良心の声なのか、エゴの声なのかで迷うことがあるという意見が出ました。せっかく聞こえた気がしても、自信がもてないと苦しみはなくなりません。

現代の人々は、単に肉体だけを意識している状態です。肉体は風船や水の泡のようなものです。心は狂ったサルです。肉体や心に従ってはなりません。良心の指示に従いなさい。現代の人々は、アートマ原理よりも、肉体に執着しています。自信に欠けていることが、あらゆる欠点の主な原因です。人々は富や財産や権力を信頼しますが、真我を信じていません。
「真の教育 サティヤ サイ エデュケア講話集」P38

 真我、アートマの存在を信じることは大きな一歩です。アートマについて、頭では信じていても、いざという場面でその信念は揺らいでしまいます。しかし、誰の内にも必ずある良心は、アートマと一つであったものなのです。この世の中で起きるさまざまな苦難や試練に対する唯一の解決は、アートマへの信念であると思いました。

2016年01月10日|ブログのカテゴリー:2016