霊 性 部
ダセラ祭御講話
今回は、1998年9月25日、ダセラ祭期間中の、7日間にわたるヴェーダの儀式の初日に行われたスワミの御講話の一部をご紹介します。今年も例年通り7日間連続でスワミの御講話がありましたが、今年は五大価値を中心としたお話でした。このときの一連の御講話が、今年中に翻訳出版される予定になっています。
誕生も死もないアートマ
誕生や死があるのは肉体だけです。アートマ(真我)には、誕生も死もありません。
それには始まりもなければ終わりもありません。それはすべてに浸透している永遠のブラフマです。ブラフマとは誰でしょう? それは、書物に描写されているような、4つの頭を持った存在ではありません。ブラフマとは果てしない広がりです。皆さんはどこを見ても、ブラフマを見るばかりです。この果てしない愛の広がりは神です。
『私の身体』という感覚は、愛が制限されることであり、それは死を意味します。ですから、皆さんは愛を広げなければなりません。皆さんの愛は、家族や親戚のみに限定されるべきではありません。
数学では、1+1+1+1=4です。1が足されるか引かれるかによって、数字が増えたり減ったりします。しかし、霊的数学においては、アートマ+アートマ+アートマは、再びアートマになります。それは増えたり減ったりすることがありません。アートマの最初の名前は『私』です。ヴェーダは、『私はブラフマンである』と宣言しています。この『私』こそが、神の最初の名前です。この『私』を知ることは、真理の道に従うことによって、初めて可能になるのです。
過ちは見る目の中にある
この世界には、真理のみが存在しているのであって、過ちは存在していません。もし皆さんが過ちを見つけたとすれば、その過ちは見る目の中にあるのであって、世界の中にあるのではありません。青い色眼鏡をかければ、世界は青い色に見えます。赤い色眼鏡をかければ、周りがすべて赤く見えるでしょう。欠陥は、世界にあるのではなく、眼鏡の色にあるのです。宇宙の原理は神そのものです。ですから、すべてを神として、深く尊敬しなさい。すべてを神として愛しなさい。そうすれば、憎しみや敵意の入り込む隙がありません。この世のあらゆる混乱の原因は何でしょう? それは平等心の欠如です。平等心を通して、初めて愛を育てることができるのです。
愛の化身である皆さん!
この7日間の儀式の中では、7種類の様式の礼拝が執り行われます。私たちはそれを、『サプタハ(7日間の行事の意味)』と呼んでいます。『サプタハ』を行うことの意義は何でしょう? この『7』という数字は、数零学の中では非常に大切な数です。音楽においては7つの音(サプタ スヴァラ)があります。また、7つの海があり、7人の聖賢と、7つの色と、7つの世界があります。それらはすべて私たちの中にあります。あなた以外のものは存在しないのです。
あなたとは別に神がいると考えて、自分の外側に神を探すのは愚かなことです。あなたは神なのです。しかしあなたは、自分と肉体を同一視しているために、この真理を理解することができないのです。肉体は水の泡のようなものです。そして、心は気の狂ったサルのようです。あなたはなぜこの2つのものに頼っているのですか? 自分の良心に従いなさい。そうして初めて、満足が得られるのです。
神聖な性質
アートマは『霊的ハート(フリダヤ)』を象徴しています。神は『フリダヤ』に住んでいます。フリダヤからは、神聖な性質のみが出てくるようにすべきです。フリダヤは、愛と平安の中心です。ところがその代わりに、怒り、憎しみ、妬みが出てくれば、あなたは人間ではなく、野獣になってしまいます。そのようなハートは、動物の棲家であって、神の住む所ではありません。あなたが、平安と愛と慈悲をもって振る舞うのであれば、あなたは神なのです。私たちの内に神聖な特質を育てるために、*ナヴァラートリの礼拝が始まっています。*ドゥルガー、*ラクシュミー、*サラスワティーは、浄性(サトワ)、激性(ラジャス)、鈍性(タマス)を象徴しています。
皆さんは、『*ダシャラタ』という名前を聞いたことがあると思います。それは誰でしょう? ダシャラタとは*アヨーディアの国王のことではありません。ダシャラタは、5つの認識に関する感覚と5つの行動に関する感覚をもった人間の身体を表しています。これらの10の感覚を司っているのがダシャラタです。この身体は馬車であり、ダシャラタとは、この馬車の主人のことです。彼には3人の妻がいます。それは、浄性、激性、鈍性の諸性質を象徴しています。彼には4人の息子がいます。それは、ダルマ(正しい行い)、アルタ(富)、カーマ(欲)、モクシャ(解脱)という人生の4つの目標を象徴しています。ダシャラタの王国の首都は何でしょう? 『アヨーディア』です。それは、誰も入ることのできない場所という意味です。それは、よこしまな性質がまったく侵入することのできない、『霊的ハート』を象徴しています。
あなたの母として神を崇めなさい
人間の心は、ミルクの海(クシーラ サーガラ)にたとえることができます。しかし、今日それは塩辛い海(クシャーラ サーガラ)になってしまいました。ヴィシュヌ神はミルクの海に住んでいます。つまり、彼は私たちの心に住んでいるのです。しかし、私たちが、ハートをクシャーラ サーガラにしてしまえば、そこにはクジラやサメ(悪い性質)が入ってきます。人間の心は、純粋でなければなりません。そのとき初めて、ヴィシュヌ神がその中に住むことができるのです。あなたが神を理解できたとしたら、決して外側に神を探すことはないでしょう。「神はあなたと共にいます。あなたの中におり、あなたの上にも、下にも、あなたの周囲にもいます」神よりもあなたに近い存在はありません。神は、あなたを産んでくれた母親よりも近くにいます。ですから、神を、真理の化身である母として崇めなさい。
私はいつも詩や詩節で講話を始め、バジャンで締めくくります。皆さんは、それがなぜだか知っていますか? 最初の詩や詩節は皿にたとえることができます。講話は、皿の上に盛られる様々なおいしい食べ物にたとえることができるでしょう。そして、最後に歌うバジャンは、おいしい料理の上にかぶせる皿のようなものです。これを薬のように考えて、少ししか食べないのはいけません。これをご馳走として扱って、私の給仕するおいしい食べ物を、食べられるだけ存分に食べなさい。このご馳走を体験し、楽しみなさい。
学生諸君! 愛の化身である皆さん!
皆さんは、日常生活の中で多くのことを学ばなければなりません。まず第一に、あなたの人生における過ちを知り、それを正すようにしなさい。完全な人間になるには、愛が欠かせません。あなたが愛の道をたどるならば、すべてが愛になるのです。
編注
○ナヴァラートリ
ドゥルガーなどの女神(地方によって異なる)が祀られるインドのお祭り。9〜10月に行われる。
○ドゥルガー
生命力を守護する女神。パールヴァティ女神の別の姿
○ラクシュミー
富の女神にして、ヴィシュヌ神の妃
○サラスワティー
芸術および学問の守護女神。ブラフマ神の妃
○ダシャラタ
ラーマ王子(ヴィシュヌ神の七番目の化身)の父親
○アヨーディア
ガンジス河支流の岸辺にあった古代都市
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