サイラムニューズ NO.71  
サイの御教え



2000年元旦の御講話
  人々は楽しい時間や、良い地位を望み、
幸せな人生を送ることを望んでいる。
しかし、立派な知性や、英知や人格を
獲得しようと努める人はいない。
ここに集まった聡明な人々に、
これ以上スワミは何を
伝えることができるだろうか。

人間として

 愛の化身である皆さん!
 人間として生まれることは、稀有な特権です。時間は貴重です。心は優しく、頭脳
は甘露のように甘いものです。人間が、そのような特徴を備えているにもかかわら
ず、自分自身の特性を認識することができないでいるのは不運なことです。
 人間であるとは、単に人間の肉体をもっているということではありません。実は人
間性とは、宇宙に遍満している神の姿そのものに他なりません。宇宙に存在している
あらゆる力は、人間の内にも存在しています。人々は、自分の能力を認識することが
できず、そのごく一部さえも活用することができないでいます。

 人間には平安と幸福が欠如しています。それはなぜでしょう? 尊く稀有な人間と
しての命が与えられ、柔らかく優しい心と甘露のように甘い頭脳が備わっている人間
が、このような貴重なものをもっているにもかかわらず、それを享受して平安を味わ
うことができないのはなぜでしょう? 自分の本来の可能性に気づかず、自らの本性
を忘れて、人間は狭量になり、利己的になって心の平安の欠如に苦しんでいるのです

 太古の人々は非常に平安に満ちた人生を送っていました。彼らにとって、不安や悲
しみはなじみのないものでした。彼らはサティア(真実)とダルマ(正しい行い)を
守ることによって、平安と幸福のうちに生きることができました。
 今日の人間は、なぜ心の平安を失っているのでしょう?どのような火が燃えるかに
よって、どのような煙が出るかが決まります。煙によって雲が決まり、雲によって雨
が決まります。雨によって穀物が決まり、穀物によって食物が決まります。そして、
どのような食物をとるかによって心の思いが決まります。今日、飲食に関する人々の
習慣さえも、適切なものではなくなっています。

真の飾り

 本当の意味で人間を飾ってくれるものは何でしょう?池を飾るのは蓮の花です。村
や町を飾るのは家や建物です。波は海を飾ります。月は空に美を添えます。
 人間にとっては、人格が飾りです。この飾りを失ったことが、人間のあらゆる悲し
みや苦難の根源なのです。人間は、何のために神が人間を創ったかという目的を認識
していません。宇宙には、神によって備えられたいくつかの真理や神秘や理想があり
ます。しかし、人々はこのような理想を見失っています。
 人間は、自分に備わったものの意義を、正しく評価することがまったくできていま
せん。この世に存在するあらゆる力の中で、人間の力が一番素晴らしいのです。実際
、地球上のあらゆる物質の価値を定めているのは人間に他なりません。ダイヤモンド
や黄金に価値を与えるのは誰でしょう? 土地の価値を定めるのは誰でしょう? 人間
は、この世のすべてのものを評価していながら、自分自身の価値を認識することがで
きないでいます。そうであれば、どうして人間が神の価値を理解することができるで
しょうか?
  まず最初に、人間は自分自身の力と価値に気づかなければなりません。そうして
はじめて、神を理解しようと努める立場を確保できるのです。

 ここにバラがあります。世俗的な見方では、これはただのバラの花にすぎません。
しかし、神聖な見方をすれば、それは心の花です。人間がバラの形と香りを感知する
力はどこから来ているのでしょう? それは神から来ています。皆さんが、遍在の神
を感じ取ることができないことこそが、この物質世界における皆さんの苦しみや悲し
みの最大の原因なのです。

人間は神の化身

 皆さんは、物質的、世間的な観点から、この日を2000年の始まりと見なしてい
ます。そのような表現は普遍的なものではありません。それは、特定の暦を使ってい
る一部の人々にのみ当てはまるものです。
 それを宇宙全体に適用することはできません。実際、宇宙は神そのものです。個人
は時間と空間に制限されており、宇宙とはスケールが違います。ですから、個人はジ
ーヴァ(個我)であり、宇宙はデーヴァ(神)なのです。

 神の観点からすれば、2000年はただの点に過ぎません。これまでに、100億
年もの年月が経ちました。ですから、今日から2000年が始まるということには何
の意味もないのです。
 イエス キリストの時代から2000年が経ちました。では、キリスト出現以前の
、100億年もの時の流れはどうするのでしょう? ジャニュアリー(1月)、フェ
ブラリー(2月)等々の月の名称さえも、ギリシャの王様たちや過去の様々な人物に
関係しています。時間の周期の名称が人間にちなんで付けられているのにもかかわら
ず、人間性の特性自体は無視されてきました。人間は神の化身に他ならないのです。

時間は神である

 行動が適切で純粋な人は、良い結果のみを得るでしょう。全体的に言って、これか
らの1年は、皆さん方全員にとって良い年になるでしょう。
 事実、今日で西暦1999年が終わって、2000年が始まります(訳注 インド
では、日の出と共に日付が変わります)。しかし、実際2000年は、2000年の
12月31日まであると言えます。これまでの年月の結果が、今年開示されて行く
ことになります。この1年は、この国に住む人々にとっても、それ以外の世界の国々
の人々にとっても、一般的に言って、有益な影響が生まれるでしょう。1月から3月
に至るまでの最初の3ヵ月間は、やや波があるかもしれません。それは、時間という
ものが、太陽の活動に関係している現象だからです。西暦2000年という年には、
太陽の活動に少しばかり変化が生じることになるでしょう。
 こういった変化は、最初の3ヶ月の間に起こります。このような物理的な変化には
、物質を超えた次元での結果が伴うことがあり、人々にとっていくらかの良い影響や
悪い影響が出ることが考えられます。このような変化の後(つまり西暦2000年3
月が過ぎた後)は、必ず、より良い安定した時期が訪れます。しかし、バガヴァン(
神)がこのように宣言したからといって、すべてを時間の流れに委ねておけば良いと
考えてはいけません。いかなる状況のもとでも、皆さんの側からの努力を、決してお
ろそかにしないことです。

 皆さんはこの日を、2000年の始まりとして祝っています。このことを、英国人
の押し付けであるなどと言って、ないがしろにしてはなりません。そのような狭量な
差別は、いっさい許すべきではありません。全世界において、人間性は皆同じです。
世界中のあらゆる国のすべての人間が、人類という同一の階級を形成しています。こ
の真理を、心の中にしっかりと刻み込んでおきなさい。

 皆さんは、人間として生まれることができるのは、非常に稀なことであると認識し
なければなりません。時間を貴重なものであると見なしなさい。心は柔らかく、頭脳
は甘露のように甘くなければなりません。皆さんの甘露のごとき頭脳を外界の対象物
に向けることによって、頭脳に毒を注いではなりません。頭脳を外界の事物に向けれ
ば、柔らかい心は石のように固くなってしまいます。時間を無駄にしてはなりません
。時間は神の姿そのものです。

すべての人々の幸せを祈りなさい

 皆さんは、今日という日を非常に神聖な日であると見なしています。皆さんの心の
状態によって、得られる結果が異なります。いずれにせよ、2000年という年は、
いかなる意味においても、決して悪い年ではありません。今年は、非常に高い理想が
促進され、神聖な原理が推奨されるようになります。また、一体性も促進します。非
常に短期間のうちに世界中のすべての国の人々が、ひとつにまとまるようになります

 現在は、アメリカ、ロシア、日本、中国、パキスタン、インド等々の多くの国々が
、つながりのない別々なものであるかのように存在しています。我々が、決して妥協
できない敵であると見なしている国々も、非常に親しい友好国になります。我々を憎
む者はいなくなります。私たち人類は皆同胞です。まもなく皆さんは、誰もが『人類
同胞と父なる神』という、全人類調和のスローガンが真実であることを目の当たりに
するようになります。純粋な心で、このことができるだけ早く実現するように、皆さ
ん方全員が祈るようにしなさい。

 世界には、大変な苦しみを味わっている人々がたくさんいます。最近のハイジャッ
ク事件に巻き込まれた人々は、極度の緊張にさらされていました。そのような悲劇を
軽減することのできる唯一の特効薬は祈りです。祈りはもっとも頑なな心をも溶かし
ます。『全世界の人々が平和でありますように』と、心を込めて祈りなさい。自分の
家族や友人や親戚のためだけに祈ってはなりません。そのような狭い心で行う祈りは
不毛です。皆さんの祈りは、世界中のすべての国々に住む、あらゆる人々の幸せを祈
るものでなければなりません。

無私の愛

 皆さんは、愛のない心に愛の種を蒔かなければなりません。そこに愛の水を注ぎな
さい。愛が洪水のように流れるようにして、すべてに愛を行き届かせなさい。皆さん
は、このような、純粋で揺るぎない、無私の愛を育てなければなりません。これこそ
が、皆さんがこの新しい年に身に付けるべき霊性修行です。

 現代人は、愛を世俗的な事物に向けて、幾つかの複雑な状況に巻き込まれてしまっ
ています。愛は、与え許すことによって生き、エゴは、自分のものとして取り込み、
忘れることによって存続します。利己的な愛は魚の生臭い匂いにたとえることができ
ます。
 無私の愛を培いなさい。すべてを愛しなさい。誰をも恐れる必要はありません。あ
なたの愛を純粋なものに保ちなさい。そうすれば、全世界が純粋になります。

 多くの人々が、2000年がどのような年になるかと心配し、様々な予測を立てて
います。今年は、手に負えないほどの困難は起こりません。すべてのものごとが、起
きては消えて行きます。幸せと悲しみのない世界は存在しません。世の中にとって悪
いものは何一つありません。楽しみは苦痛と苦痛の合間にやって来ます。一度も苦痛
を味わったことのない人が、どうして楽しみを感じることができるでしょう? これ
らのものは過ぎ行く雲のように、来ては去って行きます。私たちは、一方を忌み嫌っ
たり、もう一方を切望したりすべきではありません。
 あらゆる予期せぬ出来事を、愛をもって迎えなさい。あらゆるものを愛に変えて、
皆さんの生活を愛で満たしなさい。そうすれば世界に平安と安定がもたらされるでし
ょう。

平安を享受するために

 皆さんはなぜ『シャンティ(平安)』という言葉を3回繰り返すか知っていますか
? 最初のシャンティは肉体を指しており、2番目は心を、そして3番目は魂を指し
ているのです。というのも、1人のあなただけではなく、3人のあなたがいるからで
す。
 それは、あなたが自分であると思うあなた(肉体)と、他の人々があなたであると
思うあなた(心)と、本当のあなた(真我)の3人です。この3つの側面のすべてが
平安な状態であることが必要です。このようなことをすべて達成するための手段は、
愛のみです。
 愛のみによって、これらのことがすべて成し遂げられるのです。スワミ(霊性の師
に対する敬称。ここではババ様のこと)はそれを目に見える形で証明しています。

 スワミの唯一の財産は愛に他なりません。ここに集まった大勢の人々に、誰かが招
待状を送ったのでしょうか? 皆さんからのスワミへの愛と、スワミからの皆さん方
1人1人への愛が、ここにいるすべての人々を引き付けたのです。ですから、愛によ
ってあらゆることが可能であるということを確信しなさい。皆さん自身のうちに愛を
育てなさい。憎しみ、妬み、高慢というよこしまな性向を退けなければなりません。
このようなものは人間の性質ではなく、獣にしか似合わないものです。

 真実は人類の基盤であり、正しい行いは人間本来の性向であり、愛はもっとも大切
な態度です。これらのすべてを備えていれば、あなたには平安を享受する権利があり
ます。利己心を捨てて調和に満ちた態度を身に付け、すべての人々の幸せを望んで、
神に祈りを捧げなさい。

 皆さんは、単に食べたり、歩き回ったり、眠ったりするためだけに生まれたのでは
ありません。皆さんは、祖国にとっての理想的な手本とならなければなりません。皆
さんが示すべき理想とは何でしょう? すべての人々を、力の限り助けなければなり
ません。神を愛する最良の方法は、すべてを愛しすべてに仕えることです。皆さんは
、奉仕と愛を理想として、今この瞬間から、新しい生き方を始めなければなりません

 これが私から皆さんへの祝福であり、祈りです。

2000年1月1日 プラシャンティニラヤム

 

 


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