サイババの御言葉

日付:1990年2月10日
シュリ・サティヤ・サイ大学
ビジネス・マネージメント・コースの学生セミナーにおける御講話 より

企業経営における人間的価値


基本的な人間的価値(ヒューマン・バリュー)である真実、正しい行い、平安、愛、非暴力を日々のビジネスの行動において実践することのできる方法は数多くあります。経営(マネージメント)には、マーケティング、財務、労使関係など、さまざまな側面がありますが、最も重要な側面は「マン・マネージメント」(人間経営)です。どの国にも独自の歴史的、文化的背景があるのですから、インドの経営者は外国から輸入したやり方を機械的に模倣するのではなく、インドの環境と国のエートスを頭に入れておくべきです。

サティヤ・サイ大学のMBA(経営学修士課程)の学生諸君には、インドでの経営のやり方に、サティヤ(真理、真実)、ダルマ、シャーンティ(平安)、プレーマ(愛)、アヒムサー(非暴力)という極めて重要な基本的価値を吹き込むという、はっきりとした必要があります。これらの価値はどれも相関関係にあります。たとえば、明るく光る電灯はプレーマ(愛)に喩えられます。なぜなら、愛の光を明るく輝かせるためには電灯が必要だからです。その電球はシャーンティ(平安)です。電球はケーブルとつながっていなければなりません。ケーブルはダルマです。さらに、ケーブルには電流が流れていなければなりません。電流はサティヤ(真理、真実)です。サティヤ(真理、真実)という電流が流れるダルマ(正しい行い)というケーブルが、シャーンティ(平安)という電球に接続されると、プレーマ(愛)という電灯が明るく輝いて光を発します。

サティヤ(真理、真実)、ダルマ、シャーンティ(平安)、プレーマ(愛)は、全体を構成しているのであって、それぞれ個別の価値ではありません。この四つの価値はどれも等しく固守されなければなりません。

ビジネスにおいて正直であることは社会奉仕の一形態

真実(サティヤ)に関してですが、ビジネスにおいて正直であることは損失を招くと言われることがしばしばあります。これは違います。初めのうちは多少の困難があるかも知れませんが、時が経つにつれ、誠実さと正直さそれ自体が報酬をもたらすようになるでしょう。

MBAの学生諸君は、会計と監査における真実がいかに会社のイメージ向上に役立つかを、自分の会社の上司に納得させなければなりません。妥当な利鞘(りざや)で満足すべきです。この方針は、初めは利益を産まなくとも、長期的には最も利益をもたらすものとなるでしょう。これは自信を生みだす方法です。ビジネスを正直に運営していくことは、社会奉仕の一形態、そして、霊的なサーダナ〔霊性修行〕であると見なされなければなりません。

ダルマの実践において、消費者へのマーケティングの方法は正当であるべきであり、従業員への対応は公正であるべきです。

平安(シャーンティ)の遵守に関しては、どんなに困難な状況においても心を乱されるべきではないということを、MBAの学生諸君はよく理解しておくべきです。平静を保ち、波風を静めるよう努めなければなりません。そのような状況においては、愛という武器を使うべきです。

兄弟のような関係は工業の調和をもたらす

ビジネスの世界におけるプレーマ(愛)は、経営者、従業員、その他ビジネスに関わるすべての人が一つの家族の一員である、という気持ちを持った経営陣によって、示されなければなりません。経営陣は、皆に兄弟のような気持ちを持たなければなりません。互いへの愛と敬意を持つことによって、工業の調和を達成することができます。

工業経営におけるアヒムサー(非暴力)には、単に他人に害を与えないということ以上に、広義の社会的な意味があります。大気汚染や、川をはじめとする天然資源の汚染を避けることは、企業がアヒムサー(非暴力)を実践する方法です。

以上のようなさまざまな手法を用いることで、基本的な人間的価値を固守する経営者たち、ビジネスの世界でのタスクに霊的なアプローチを採用する経営者たちによって、私たちの国民と国に多大な善がなされ得るのです。

MBAの学生諸君は、しっかりとした神への信仰心を持ち、自分が雇用されるであろう企業において、そのビジネスへの献身と社会奉仕の精神で、自らの義務を果たすべきです。

翻訳:サティヤ・サイ出版協会
出典:Sathya Sai Speaks Vol.23 C3

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