サイババの御言葉

日付:1995年12月18日・場所:シュリ サティヤ サイ大学の講堂
第三回心臓血管疾患国際シンポジウムの御講話より

愛を持って患者を治療しなさい


バーラタ〔インドの正式名称/神を愛する人々の国の意〕の文化が人類全体に伝える最初のメッセージは、「すべての人が健康で明るく、幸せに暮らせるようにしよう」というものです。バーラタ文化は世界の誰もが苦しみや惨めさを味わうべきではないと望みました。

サンスクリット語のアーローギャム〔無病/健康〕を意味する英語はHealth(ヘルス)です。Health(ヘルス)という単語はラテン語のHealy(ヒーリー)からきています。アーローギャムにはいくつかの意味があります。その1つは「神聖さ」です。もう1つは「パリプールナム(完全)」です。ですから、アーローギャムという単語は、体の器官はすべて完全で聖なるものであるべきだということを示しています。何かの器官が苦しんでいるなら、体は完全だとは言えません。

ですから、完全な健康を得ることを目指し、他の人も同じことを目指すのを助けるべきです。

カルマート ジャヤテー ナラハ、カルマンニェーヴァ プラボーダティ
(人が産まれるのは行いの結果であり、死の原因も行いである)


このように、誕生と死の原因は行い(カルマ)です。すべての行いには結果があります。人が行うあらゆる行いにおいて、その結果は知らぬ間に形となって現れます。このように、行いはその果報と結びついています。さらに、時間も行いと結びついています。行いと時間は密接に関連しています。

時間は2つの行いの間を計るもの

すべての行いには独自の道(マールガ)があります。1つの物体は、空間によってもう1つの物体から離されています。それと同じように、時間は1つの行いともう1つの行いの間隔を計るものです。ここにコップがあります。コップの下にはお盆があります。このガラスのコップとお盆の間の空間は、ダルマと名付けられています。ダルマがなければ、1つの物体ともう1つの物体の間に分離はあり得ません。ダルマは2つの物体の相互関係を定義します。

次に、時間についてです。ある医師が手術を行う時間を午前8時に定め、手術は午前11時までに縫合をして完了するものとしました。手術の開始から完了までの3時間は、手術にかかる時間を示しています。所要時間の推定には、当然ながら行いも含まれます。行いは2つの時点の間に存在します。このように、時間と行いは一緒に進行します。ですから、誰もが行いと時間の密接な関係を認識すべきです。

すべての行いには、善果であれ悪果であれ、その結果があります。結果を伴わない行いはこの世にありません。これは自然の法則です。たとえば、ナイフで指を切ると、即座に指から血が出ます。指を切った結果は瞬時に現れます。歩いている時に足を滑らせて転倒し、足を骨折した場合も、転倒の結果は瞬時に現れます。もう1つ例をあげましょう。あなたは今朝、朝食をとりました。あなたが食べた物は消化されるのに2時間かかります。前の2つの例では、行いの結果は瞬時に現れました。しかし、食べた物の消化の場合は、結果が現れる〔消化される〕までに2時間かかりました。もう一つの例です。種をまくと、何日か後に苗木になります。実がなるには数年かかります。このように、すべての行いには結果がありますが、行いとその結果が現れるまでの間の時間は、それぞれの場合によって異なります。バーラタ文化は行いと結果についての真理を認識しています。他の人々もこの真理に気づく必要があります。

この真理を知っている人が間違った行いをすることはないでしょう。善い行いは善果を生み、悪い行いは悪果をもたらすことがわかっているのですから。このカルマの法則の周知は、人々に正しい生活を送らせるでしょう。現代人が間違った道を歩んでいるのは、カルマの法則という真理に気づいていないからです。

心臓を良い状態に保つ方法

体にとって健康は不可欠です。健康な心(マインド)は健康な体にしか存在できません。健康な心を持っている人だけが、喜びに満ちた活動に参加するでしょう。

この会議は主に心蔵に関心を寄せています。多くの人は心臓を最も重要な器官であると考えています。心臓を良好な状態に保つ方法があります。体内のほとんどの器官とは異なり、心臓は絶えず動いています。絶え間なく働いている器官を手術するのは難しいことです。手術をするために心臓の鼓動を止める必要がある場合、それは2〜3分を超えて行うことはできません。しかし、そんな短時間ではどんな手術もできません。そのため、心臓専門医たちは、心臓を数時間動かないようにして心臓手術を行う方法を研究しました。人工心肺装置は心臓の手術を可能にするために設計されました。

心臓は体を良い状態に保つための第一の器官です。心臓が健全な場合にのみ、全身に適切に血液が供給されます。

人工心肺装置を発明したのは誰ですか? 人工心肺装置は人間の知能の産物です。これは、知能は心臓よりも優れているということを示しています。知能が数々の装置の開発を担ってきたのです。

時間と行いの関係を認識しなさい

実用的な目的で知能を使うことによって、医師は心臓手術を行う技術を見いだしました。知能は心臓と同じくらい重要です。知能と心臓の組み合わせが、人を健康に保つのに役立っているのです。医師は手術を行うことにおいて極めて知的かもしれません。しかし、手術中に医師の心(マインド)がさまよったら、手術は成功しません。成功に必要なさまざまな特性の組み合わせを正しく理解すべきです。

時間と行いの関係を認識する必要があります。現代人は自分の行いの結果を無視する傾向があります。ただ単に世俗の喜びを求めて、人は富を最も重要なものと考えています。中国人には、ある伝統的な習慣がありました。彼らは毎朝、起きた時に、「困難は我らの友。困難を歓迎しよう」という言葉を思い起こしていました。今、人々は困難を敵と見なしています。困難がなければ快適さを得ることはできません。

人々は、体が快適であるためには富が不可欠であると考えて、そのせいで富の奴隷になっています。富の奴隷でいるかぎり、困難が途切れることはないでしょう。

サルヴェー バヴァントゥ スキハナ
サルヴェー シャーントゥ ニラーマヤーハ
(すべての人が幸せでありますように
すべての人が苦しみから解放されますように)


もしこのように祈ろうとするならば、自分の中にこうした気持ちがなければなりません。

バティア医師は、スワミは医師たちに正しい道を示し、医師たちにその道を追求する力を与えるべきである、と主張しました。皆さんに力がないのではありません。神は皆さんに力を与えましたが、皆さんはそれを正しい方向に沿って使っていないのです。どの人間にも、神聖なエネルギーが授けられています。それを正しい目的のために使わなければなりません。それを自分の良心の指示に従って正しく使わなければなりません。良心が満足すると、そのエネルギーは聖化されます。現代人は利己的な目的のためにその神のエネルギーを悪用しています。

今日の医師の義務

人々は行いと時間の神聖さを認識すべきです。カルマ(行い)を司る神は全能です。ですから、自分の行いが善いものであるかどうか見てくださいとお願いするために、神に祈るのです。

人類が人間と呼ばれているのは、人には神聖な感情や思考や意図が存在するからです。これは「人間らしさ」は「優しさ」と同義語であるということを意味しています。ヴィヤーサ仙は18のプラーナ(神聖叙事詩/神話)を書きました。そんなに多くのプラーナを読む時間が誰にあるでしょう? そのため、その点について思いを巡らせた末、ヴィヤーサ仙は18のプラーナの真髄を「常に助け、決して傷つけない」という言葉で明言しました。これは今日の医師の義務です。

医師たちは貴重な知識を得ています。それを公益のために使うべきです。そのようにして使えば使うほど、知識は膨らんでいきます。自分のところに患者が来たときにいつでも役に立てるよう準備していなさい。できませんと言い訳をして患者に背を向けるのは、弱さの印です。皆さんには神から与えられた力があるのです。自分の力を自覚しなさい。

医師は、真実(真理/サティヤ)、正義(ダルマ)、平安、愛、非暴力という5つの人間的価値の重要性を認識すべきです。愛は他のすべての価値の基礎です。医師は、自分が患者に示す愛によって患者に勇気を吹き込むことができます。医師が愛を込めて職務を遂行するなら、成功が授けられるでしょう。

オールドはゴールド

会議での議論において、参加者からいくつかの矛盾する見解が出されました。その1つは、以前の手法よりも最新の手法を優先させるべきか、というものでした。スワミは、古い手法には好意的に語られるべきことがたくさんあると考えます。古い手法は、迅速な結果は得られないかもしれませんが、ゆっくりで確実です。最新の技術は、短期的には成功しているように見えますが、長期的な結果は必ずしも良いとはかぎりません。必要に応じて最新の技術を採用すべきですが、以前の技術をすぐさま否定すべきではありません。「オールドはゴールド(古は金なり)」です。古い技術には実績という利点があります。

心臓移植については注意が必要です。手術は容易かもしれませんが、移植する心臓を得ることは容易ですか? 移植された心臓は、しばらくの間は機能するかもしれませんが、神から与えられた心臓ほど長く機能することはできません。

心臓移植や目の角膜移植に関しては注意が必要です。移植する心臓や角膜はどのような人格を持った人から得たものかも考慮すべきです。古代の医療従事者たちは、患者を治療する際にこれらの要因を考慮しました。

昔は、縁談をまとめる前にその家の先祖たちについて十分に調査しました。しかし、今、そうした要素は無視されています。人々は家柄には無頓着でありながら、ドッグ ショーでは犬の血統を気にかけます! 多くの夫婦関係が短期間で破綻してしまう原因は、このような、家柄への無頓着にあります。このような事は起こるべきではありません。結婚は生涯を通じたパートナーシップであるべきです。

善い思いは薬よりも効く

善くない先祖がいるかもしれない人の心臓と取り替えるよりも、患者の心臓を治療するほうがよいのです。心臓は体の中で最も重要な器官です。心臓を健康な状態に保つには、その人の思いが健全でなければなりません。善い思いは薬よりも効きます。

ここに集まった医師たちは尊敬に値する人たちです。心が広く、親切で、優しいハートの持ち主です。お金持ちの患者からは治療代を受け取ってもかまいませんが、貧しい人には無料で診療すべきです。週に1日を、宗派や国籍にかかわらず人々に無料の医療奉仕をするために捧げなさい。そのような奉仕はあなたに自然な喜びを与え、あなたが神を体験することを可能にします。

あなたが患者に投与するカプセルに愛を詰めなさい。弱った患者があなたのところに来たときに、ブドウ糖や他の何かを投与することで満足してはいけません。愛を注射しなさい。それは患者に瞬時に力を与えるでしょう。愛を持って患者と話し、愛を持って薬を投与し、患者がずっと機嫌よくいられるようにしなさい。それが患者を幸せにする方法です。幸せは神との結合です。何であれ愛を持って行うことは報われるでしょう。

参加者たちは偉大な理想を掲げています。皆さんの経験は賞賛以上のものです。皆さんはさまざまな経験を語ったので、皆さんの話を聞くことは感銘をもたらしました。皆さんは各分野の専門家です。皆さんがこの会議にいてくれたこと、そして、皆さんが私たちの医師たちに与えてくれた励ましに、深く感謝します。シンポジウムや会議は世界中で開催されています。けれども、この会議には誰もが深く関わり合いました。この会議の会場では、どこでも皆が神のバイブレーションを体験しました。皆さんがここでの経験によって豊かになって自国に戻り、それぞれの国によく奉仕するよう、私は皆さんを祝福します。皆さんが平安で幸せであり、その平安と幸せが国の人たちに分け与えられますように。

翻訳:サティヤ・サイ出版協会
出典:Sathya Sai Speaks Vol.28 C37

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