霊性部
愛を培う方法
一九九九年は『道徳の年――非暴力』と呼ばれています。ここで言う道徳とは人間的価値(五大価値)のことであり、人間的価値の基盤はプレマ(愛)です。愛を培う方法について、スワミは、『プレマ ヴァヒニ』の中で、次のように述べておられます。
それでは、どのようにして愛を培えば良いのでしょう? それは、次の二つの方法によって成就されます。
(一) 他者の欠点は、どれほど大きなものであっても、常に無視できるほど些細なものと見なしなさい。自己の欠点は、どれほど小さく、無視できるほど些細なものであっても、常に大きなものとみなし、それを悲しみ悔いなさい。このようなやり方によって、より大きな過ちや欠陥が生まれるのを防ぐことができ、友愛と寛容の精神を身につけることができます。
(二) あなたのすべての行動を、自分一人のときも、他者と共に行動するときも、神が遍在であることを想いながら行いなさい。神は、いっさいを見、聞き、そして知っています。あなたがいかなる言葉を口にするときも、神がその一語一語を聞いていることを忘れないでおきなさい。真実と虚偽を識別し、真実のみを語りなさい。何をするときにも、正しいことと誤ったことを識別し、正しいことのみを行いなさい。一瞬一瞬、神の全能を意識する努力をしなさい。肉体はジーヴァ(個我)の神殿です。ですから、その神殿の中で起きることは、すべてジーヴァ(個我)の関心事となります。同様に、世界は神の身体であり、その中で起きるいっさいの良いことも悪いことも、すべてが神の関心事となります。ジーヴァ(個我)と肉体を観察して得られる事実から、神と世界に関する、観察できない事実に関する真実を知りなさい。
ジーヴァと神の関係、両者の間の類似性は、次の三つの道具を獲得した人なら、誰でも理解することができます。それは、(一) 執着と憎しみによって汚されていない心、(二) 虚偽によって汚されていない言葉、(三) 暴力によって汚されていない肉体の三つです。
非暴力に関するQ&A
一九六八年七月に、スワミがアフリカを訪問された時に行われた、帰依者との質疑応答の中から、非暴力に関するものをご紹介します。
問い スワミジ、非暴力はあらゆる対立に打ち勝つことができるのでしょうか?
答え もちろんできます。ただ、それに対する揺るぎない信仰をもたなければなりません。決して、妥協を始めたり非暴力にそむく言い訳を見つけようとしてはなりません。
問い でもスワミジ、人々は非暴力の使徒(マハートマ ガンディー)を、彼の母国においてすら、早くも忘れてしまっているように思われます!
答え 本当にそうかどうか、あなたはどうして判るのですか? 他の人々が覚えているかどうかを、どうして気にかけるのですか? もしあなたが、ある種の行為が立派だと感じるのであれば、自分でそれを心に留めておきなさい。それは、あなたの愛する主義を促進するために、あなたにできる最善のことです。どうしてあなたが、世の中を正す責任を背負いこむのですか? 自分自身を正しなさい。もし一人一人が善い人間になって、善いことをするようになれば、世界も善くなります。
問い でもスワミジ、その非暴力が原因でインドは分裂し、両者が互いに憎み合っています。
答え 非暴力の原理が間違っているのではありません。人々がそれを信じていないのです。それはただ、外側の飾りに過ぎませんでした。それに、地理的に近いことは、心情的な近さと何の関係もありません。私たちは、お互いにどれだけ地理的に離れていても、「親密」な関係を保たなければなりません。地理的に近くても遠くても、親密な関係を保ちなさい。それが人間の義務です。すべての人を、神が祭られている神殿として敬愛しなさい。
The Light of Love 七十八〜七十九頁
*『スワミ』とは、霊的指導者に対する敬称で、『スワミジ』はそれをさらにていねいに言ったものです
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