Special Interview  
 

ラジオ・サイ マンスリーEジャーナル
Heart2Heart(ハートトゥーハート)(H2H)特集

神の化身と疑り深い人々

 
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8.神性という魅力

人の姿をした神について一つには、その引き付ける力です。普通 のあり方をはるかに超えて表れます。私の個人的な体験から、ある出来事に関する個人的な思い出があります。それは2004年のことだったと思います。それは確かに同盟国によるイラク侵攻の後でした。どうやって私が知ったかですって。読み続けてください、そうすればわかります。

それは夏、スワミがブリンダーヴァンにいたときのことで、たまたま私もそこに居合わせたときのことでした。ある日、だれかが私に、「ここにイラクから一人の男が来ている、あなたはその男に会うべきだ」と言いました。私は興奮しました。イラクから来た男性、しかもこの時期に。何としても彼に会わなければと思いました。それでこの男性のために、ある日の午後、スワミの住まい(トレイー)に隣接したゲストハウスで彼に会う手はずを整えました。我々のスタジオ(プラシャーンティ・デジタル・スタジオ)でカメラを担当しているサイ・プラカーシュがそこにいたので、カメラを持ってくるように頼みました。

その男性は、指定された時刻に妻を伴って現れました。私は彼が奥さんと一緒だとは知りませんでした。私たちが話し始めると、サイ・プラカーシュがカメラを回し始めました。その話は驚くべきものでしたが、まったく意外というものではありませんでした。このフィルムのカットをサンスカールテレビで流したことがあります。今でもサイキャストで見る事ができると思います。けれども、とにかくここでこの男性の話を簡単に紹介することにしましょう。

彼の名前はスレイマン・ダーウッド(Suleiman Dawood)といって、もし私の記憶が正しければ、70代だったと思います。スレイマンはバグダッドの監察官という、重要で力のある地位 にいました。サダム・フセインが大統領になってから、スレイマンに良心に反するようなあることを命令したのです。スレイマンは拒否しました。職を辞して、夫人と一緒に国外へ逃げたのでした。スレイマンは最初トルコへ行き、そこで仕事について何年も過ごしました。その後ブルガリアへ行き、また仕事に就きました。サダムが退けられたのち、スレイマンと夫人は母国へと帰って来ました。アメリカ人たちはスレイマンにバグダッドの警察を率いるよう要請しましたが、しかしもう一度スレイマンは拒否しました。スレイマンが言うには、征服者に仕えたくなかったというのです。今彼には十分なお金があり、働かなくてもよかったのです。しかし、いたるところで悲惨な有り様や苦しみを見ていたので、とても幸せとは言えませんでした。スレイマンは悩み苦しみ、つねにアッラーに祈っていました。

ある日、スレイマンに「インドへ行きなさい」という声が聞こえて来ました。スレイマンは驚きましたが、これは単なる想像だと振り払いました。しかしその声は何日も、何度も続いたのでした。スレイマンはインドへ行く決意をしました。そのことを妻に言うと、夫人は夫は気が狂ったと思ったのでした。夫人は、「インドのどこへ行くの?」と尋ねました。「わからない」。「わからないってどういうことなの? インドでだれに会うつもりなの?」。「わからないんだよ」。「どこへ行くか知りもしないで、だれに会うかもわからずに、ただインドに行きたいってことなの!」。「その通 りだよ!」「どうして行きたいの?」「どうしてって、聖なる人が私を呼んでいるからだよ。それだけだ!」。

さて、どこのまともな女性がそんなことを受け入れるでしょうか? そのとき、話の途中で夫人が遮って言いました。「私は夫について行く決心をしました。信仰心とかからではなく、夫は頭が変になったのだからだれかそばにいて、必要なときに助けがいると思ったのです」。こうして二人は文字通 り未知の世界へと旅立ったのでした。その時の状況を想像してみてください。アメリカがイラクを征服したとはいえ、危険な状況でした。バグダッド空港は閉鎖されていました。どこへ行く便もなく、唯一、軍関係の飛行機だけでした。そこでダーウッドは地上を旅することにしました。まず、イランとの国境へ行き、そこからイランとパキスタンの国境へ、そしてスレイマンにとって未知の、インドへと入ることにしたのです。とにかくスレイマンは旅に出ました。何かがスレイマンをつき動かしていたのです。スレイマンは列車に乗り、バスやタクシーに乗って旅をしました。

スレイマンがその驚くべき話をしている間、夫人はずっと祈り続けていました。バグダッドを出て18日かそこいらが過ぎたころ、インドのワーガー国境へとやって来た夫妻はアムリッツァル市にやって来ました。そこでだれかに「聖者は南インドにしかいないよ」と言われ、夫妻はデリーへ行きました。ニューデリー鉄道駅で、スレイマンはどこへ行くべきなのか探そうとしました。だれかが、「プッタパルティへ行ったら。だけどそのためにはまずダルマヴァラムへ行かなきゃね」と言いました。それでスレイマンはダルマヴァラムへ行くために、何がしかの列車の切符を買おうとしました。しかし、カウンターの女の子はその切符をスレイマンに渡さなかったのです。代わりに、彼女は、「あなたは聖なる地だからプッタパルティに行きたいのでしょう。ダルマヴァラムじゃなくて。プッタパルティに行く列車に乗せてあげるわ」と言うと、プッタパルティ経由でバンガロール行きの切符を二枚くれました。

一日かそこいらで、夫妻はプッタパルティ駅に着きました。バグダッドからそこまでやって来るのに23日かかったのでした。出発したときは、夫妻はどこへ行こうとしているのかもわかりませんでした。では、今はわかっているのでしょうか。その答えは、すぐにやって来ました。スレイマンが振り返って、駅にある、スワミが微笑んでいる大きな写 真を見たときです。スレイマンは興奮して妻にこう言ったのでした。「我々は正しい所に来たんだよ。あそこを見てごらん。あれが私を呼んでいる聖なる人なんだよ!」。

スレイマンはアシュラムへ行きましたが、スワミはそこではなくブリンダーヴァンにいると言われました。しかし、がっかりする必要はありませんでした。ドイツ人の帰依者がちょうどブリンダーヴァンへ行くところだからと、そのイラク人夫妻を連れて行ってくれる約束をしてくれたのです。私がこの人たちに会ったとき、夫妻はすでに一週間ほどブリンダーヴァンで過ごしており、とても幸せそうでした。バガヴァンのことをババ・スワミと言い続けていたこの男の顔には喜びがあふれていました。スレイマンは、自分がとても心配しているイラクの人々のためにバガヴァンの祝福をとても強く願っていたのでした。

以上は私の驚くべき体験の平凡な記述です。戦争に切り裂かれた国から、説明はできないけれども、自分を引き付ける何者かの所へと、未知のしかし力強く、抗し難い力によって導かれた男の物語です。それは、さまざまに違った方法で、絶えず切望している者、祝福された者に訪れる呼び声の一例です。それは内に潜む神性への、「外なる」神性からの呼び声です。それよりずっと以前のジェームズ・シンクレア(James Sinclair)の場合もそうだったように、ここでは、「外なる神」はスワミでした。(皆さん、その話はご存知だと思うのでここで繰り返すのはやめておきましょう。)

 

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出典:http://media.radiosai.org/Journals/SpecialArticle/GOD_AVATAR_AND_THE_DOUBTING_THOMAS.pdf
翻訳:サティア サイ 出版協会

 

 
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