2つの海(SEAS)の違いを「見る(SEE)]

2つの海(SEAS)の違いを「見る(SEE)」

「分かち合う喜びは、喜びを倍増する」
―ドイツの有名な作家、ゲーテの言葉―

 二つの海に関する美しい物語があります。地中海の盆地には有名な死海があります。どの学校の子供も、実際には海ではないけれども、皮肉にも海と呼ばれている唯一の水域が死海である、と知っています。それは実は湖です。それは「死海」の「海」の部分を説明しています。しかし、なぜ死海、あるいはキラー・シーというのでしょうか?それは長さ67キロで、最も広い場所で幅18キロ、そして深さ1237フィート(377m)もあるのに、そこには生命が全くないからです。死海は地球上で最も塩辛い水域の1つです。通常の海水よりも約9倍塩辛いのです。この高密度の塩は、ほんの少しの海の動植物でさえも、生き残り繁栄することを決して許しません。しかし、なぜこの湖はとても塩辛いのでしょうか?とても簡単なことです。死海のは流れ出ることがありません。ヨルダン川から水が入りますが、死海自体の中に全て留めるのです。死海は平均海面よりも低いため、出口がありません。もちろん、いくらかの量の水は蒸発して塩を残し、その過程で生物が死ぬ、最も住みにくい環境を作り出します。

 この死海の北にはガリラヤ湖があります。そして、それはたった13マイル(21km)かける8マイル(13km)の大きさです。比較するとかなり小さいのですが、ガリラヤ湖の宝物をご存じでしょうか?そこには外来の動植物が豊富にいるのです。少なくとも20種類の魚の住処だと言うことです。事実、この海は漁業が盛んで、水域を取り巻く土地の作物が豊かであることから、数千年以上にわたって多くの人々の生活を支えてきました。さて、この海はなぜ巨大な死海に比べ非常に小さいのに、なぜこのように生きているのでしょうか。秘密は簡単です。それは水を分かち合っているためです。同じヨルダン川がこの海に流れ込みもするのですが、ガリラヤ湖はその水が流れ出ています。そして、これこそがまさに、健康的で活気に満ち、生命にあふれている理由です。

 分かち合うと豊かになる!この数学を理解した多くの人たちは、自分の生活を大変豊かにしています。そして歴史はそうした例でいっぱいです。最近でも、見回すだけでそんな「ガリラヤの海」がたくさんあります。人気のニュースのポータルサイトでは、先日カル・ラーマン氏の話がありました。タミルナードゥ州の小さな村にある中流階級の家族に生まれたカル・ラーマンは、ちょうど15歳のときに父親を亡くし、その後の生涯は、恐るべき苦闘のものとなりました。彼は街灯の下で勉強をし、母親は彼や兄弟たちの米を買うために、家のすべての皿さえ売らなければなりませんでした。彼女は手についた食べ物を食べさせました。この哀れな状態から、善良な魂の寛大な助けと彼自身の勤勉のおかげで、カルは電気工学と電子工学を卒業し、タタ・コンサルティング・エンジニアリングに就職し、次にタタ・コンサルタンシー・サービシズ(*インド最大のタタ財閥の中核会社)に就職しました。その後、米国に渡り、ウォルマート(*世界最大のスーパーマーケットチェーン)で働き、2001年に30歳でオンライン薬局の最高経営責任者になりました。

 2007年、彼は慈善家のマイクミルケン(教育に10億ドル以上を寄付していた)に迎えられ、一般の人々が質の高い教育を受けられるようにするための組織を立ち上げました。そして、今日のカル・ラーマン氏は、売上高が10億米ドルを超える会社、グローバル・スカラー社の創設者であり最高経営責任者です。しかし、最良の部分は、カル・ラーマン氏は決して自分のルーツを忘れなかったことです。最近彼は1500万ルピーを費やし、自分の村の古い寺院を改装しました。それに加えて、彼は彼の村の周囲の孤児を全員養子にして、約2000人を世話していますが、一部は身体障害者の子供たちです。

 カル・ラーマン氏に、なぜこうしたことを全て行っているのか尋ねると、彼は次のように述べています。

「もしこうした子供たちを教育を与えれば、結果的に、社会に違いを生むことができる、と私は思うのです。私たちは、100人の子供の高等教育も支援しています。私の村の周りでは、よく勉強している子供が学費を払う余裕がない場合、私の家に来ればよいことを、誰もが知っています。そうした子供の教育もお世話します。」

彼は続けます。

「私は、こうしたことを慈善事業として行うのではありません。それは私の責任です。私は私を養い、私を教え、私を世話をし、私に希望を与えてくれた社会に、お返ししているのです。」

 もう1つの立派な例は、ナーラーヤナン・クリシュナン氏です。人生において、愛と世話をまったく与えられなかった人たちにとって、彼は祝福なのです。受賞歴のあるシェフがいるタージホテルで、ナーラーヤナン氏は、スイスの5つ星ホテルという実入りのいい仕事に迎えられました。しかし彼がヨーロッパに飛ぶ前に、故郷への道すがら、彼は衝撃を与える場面の証人となりました。

「私は、空腹で、文字通り自分の排泄物を食べていた老人を見ました。私は近くのホテルに行き、何が買えるか尋ねました。私が買って、その老人にもっていくためのイドゥリがそこにありました。信じてください、私はそんなに早く食べている人を、これまで見たことはありません。老人が食べ物を食べている時、その目が涙でいっぱいになりました。それは幸せの涙でした。」と彼は語りました。

 その瞬間は彼の人生を永遠に変えました。それ以来、毎朝、ナーラーヤナン氏は午前4時に起きて、彼のチームと一緒に簡単な温かい食事を作り、そしてそれをバンに乗せ、タミルナードゥ州マドゥライで、ホームレスや精神障害者に食べさせるために約200 km移動します。彼は髪の形を整え、ひげをそり、爪を切り、これまで社会で存在しない人々に尊厳を与えられるようにと、8つのヘアスタイルを自分にさえも訓練しました。彼の不屈な奉仕の情熱に触発され、時間が過ぎるとともに、多くの人が彼と手を取り合って、2003年に非営利のアクシャヤ・トラストが設立されました。ナーラーヤナン氏は、エリートの仕事を手放すことで何かを失ったのでしょうか?幸せは、分かち合うと、不思議と増殖します。

 「私はとても快適で、とても幸せな気分です…私は情熱を持っており、自分の仕事を楽しんでいます。私は人々とともに生きていきたいです。」彼は今日、本当に地球上で最も幸せな男性の一人です。ちょうど昨年、100か国以上からの10000人の候補者の中から、「CNN の英雄 2010年」のリストのトップ10に選ばれました。

 賢者は、人生は単に得ることだけではない、ということを知っています。それは与えることです。明るく元気に生きたいなら、ガリラヤ湖のようになる必要があります。富、知識、愛、敬意、その他、神からの贈り物に恵まれて幸運であり、私たちが与えることを学ばなければ、死海のようになってしまう可能性があります。すべての愛、尊敬、知識、富などが蒸発する可能性があります。一方、たとえ私たちがどれほど小さくても、私たちの貢献がどんなに小さくても、常に、真摯に分かち合おうと努力すれば、ガリラヤ湖のように、あらゆる瞬間を、私たちの存在を祝うことができます。そして最大のプラスポイントは、私たちの手を握ろうと熱望している神は、上から微笑み、私たちの顔が神の愛、輝き、恵みを映し出すことです。

https://media.radiosai.org/journals/vol_09/01MAR11/09-get_inspired2.htm